なぜ、わざわざイベントに参加するのか?
生成AIに関するセミナーや展示会が、オンライン・オフラインを問わず数多く開催されています。一方で、「セッションの資料や動画は後日公開されるし、わざわざ時間を割いて参加する必要はあるのだろうか?」と感じる方も少なくないでしょう。確かに、体系化された知識を得るだけなら、後からでもキャッチアップは可能です。しかし、イベントの本当の価値は、整理された資料の中には存在しない「生の情報」にあります。
今回は、イベントに参加することでしか得られない、その本質的な価値について深掘りしていきます。
価値1:Q&Aセッションに宿る「現場のリアルな課題」
イベントの価値を最も体感できる瞬間の一つが、登壇者へのQ&Aセッションです。プレゼンテーションはあくまで「建前」であり、美しくパッケージ化された成功事例やビジョンが語られます。しかし、Q&Aでは、参加者から「本当に知りたいこと」が投げかけられます。
「その技術を導入する上での最大の障壁は何でしたか?」「〇〇という問題にはどう対処しましたか?」といった質問には、導入企業が直面したリアルな課題や、技術の限界、そしてそれを乗り越えるための知恵が凝縮されています。他の参加者が何に悩み、どこに関心を持っているのかを知ることは、自社の状況を客観的に把握し、次のアクションを考える上で非常に貴重なインプットとなります。これは、イベントから次期トレンドを読み解く上でも重要な視点です。
価値2:休憩時間や懇親会での「非公式な本音」
セッションの合間の休憩時間や、イベント後の懇親会は、情報の宝庫です。登壇者に直接話しかければ、スライドでは語られなかったプロジェクトの裏話や、今後の展望について「ここだけの話」が聞けるかもしれません。
また、他の参加者との何気ない会話から、「実は〇〇というツールが便利」「あのサービスは導入したけれど、こういう問題があって…」といった、ネット検索では決して見つからない実践的な情報が得られることもあります。こうした偶然の出会いから、新たなビジネスパートナーシップが生まれることさえあります。イベントを最大限に活用するには、こうしたネットワーキングの機会を逃さないことが重要であり、これは非エンジニアがイベントで「武器」を手に入れるための鍵とも言えるでしょう。
価値3:会場の熱気から感じる「業界の温度感」
どの企業のブースに人が集まっているか。どのテーマのセッションが満席になっているか。会場を歩き、その場の空気を肌で感じることで、今まさに業界がどの技術やサービスに注目しているのか、その「温度感」をリアルに掴むことができます。
例えば、「AIエージェント」というキーワードが頻繁に聞かれる、特定の業界特化型AIのデモに人だかりができている、といった現場の雰囲気は、テキスト情報だけでは伝わらない重要なトレンドの兆候です。この感覚は、自社の戦略を立てる上で、データと同じくらい重要な役割を果たします。
まとめ:情報収集の「その先」へ
生成AIの進化スピードが速いからこそ、私たちはつい最新の技術やツールといった「情報」そのものを追い求めがちです。しかし、ビジネスを前に進めるためには、その情報の背景にある「文脈」や「人の想い」を理解することが不可欠です。
イベントへの参加は、単なる情報収集の場ではありません。業界のリアルな課題、キーパーソンの本音、そして未来への熱気を体感し、自らのビジネスの羅針盤をアップデートするための絶好の機会です。生成AIイベントに参加すべきメリットは数多くありますが、最大の価値は、この「生の情報」に触れることにあると言えるでしょう。次に気になるイベントがあれば、ぜひ会場に足を運んでみてはいかがでしょうか。
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